死の山、偶然の神さま、読まれたくない手紙 

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<ステートメントより抜粋>

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世界が一方向の苦しみに、喜びに覆われるほど「別の目的地」を僕らは求めてしまう。 でも、あそこもココも、また別のあそこも、どこかとどこかの中間なのではないか? と思ったりする。死の山にも生の山にも神さまはいて、その中間にまた知らない神さまがいて、僕らに別の世界を、楽園を、極楽を見せる。他方、中間に立つ人間には、神さまは居ないのか?人知を超えた存在にひっそりと祈ることも出来ないのか?と思ったりもする。

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そうこう考えていると、とにかく皆が救われて欲しいと願うようになった。いったいどの神さまが救いのビジョンを差し伸べるのか、僕は神さまではないので全くわからない。

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こんなことを記したこの文章は読まれたくない手紙ではあるのだけども、もし、万が一、 ”あなた”に行き詰まる時がくるなら、天国や極楽を目指す一本道を歩く中で、辛い現実から逃げ出したくなるなら、目的地の山の頂上に死が待っているなら、その時は切実に想像して欲しいと願う。きっと別のルートもあるはずだ、ということを。そして思い出して欲しいのだ。 ”あなた”の神さまの持つ人知を超えた心の広大さと、周りに存在する小さな人間の愛と、この世界はほとんどが「中間 / 中腹」であるという想像力を。

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もうすぐ三歳になる娘は、節分の時の鬼がよっぽど怖かったのか「福の神さま、早く寝たら来てくれるの？」なんて僕に聞いてくる。「そうだね、きっとくるよ」と僕は迷わず答える。風呂上がりのせいか、小さくくしゃみをしながら。